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image credit:Marco Fieber/Flickr
1990年のソ連崩壊後、モルドバの東、ウクライナとの国境付近の細長い土地の住民が、本国からの独立を宣言した。
4ヶ月に渡る紛争の結果、700人の死傷者を出し、停戦が締結された。それ以来、モルドバはトランスニストリア(沿ドニエストル共和国)の事情には関わらないようにしているが、独立国家としてはいまだに認めようとしていない。ほかの国も同じだ。
だが、当のトランスニストリアは、独立国家としてふるまっていて、独自の政府、軍隊、警察機構、郵便制度、通貨、憲法、国旗、紋章を持っている。
いまだに国旗はハンマーと鎌が象徴する共産党のシンボルを掲げている。こんなことをするのはこの国だけだ。
Transnistria: A land in limbo
事実上はロシアの傘下にあるトランスニストリア
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トランスニストリア(沿ドニエストル共和国)の国旗
紛争の核心は、元来トランスニストリアがロシア語を話す地域だということだ。これはオスマン帝国が18世紀後半にこの地域をロシア帝国に正式に割譲したためだ。
トランスニストリアの人々が、モルドバではなくロシアに心情的に肩入れするのも自然なことだ。今日でも、トランスニストリアはロシア語を話す人たちの最大の民族集団となっている。
1992年7月21日、トランスニストリア戦争の終わりに休戦協定が締結されたことにより、ロシアはトランスニストリアに平和維持軍を置いていて、この国の存続に不可欠な財政、軍事、政治的支援を継続的に行っている。
直接的、間接的なロシアの助成金は、トランスニストリア国家予算の半分近くを占めている。一般庶民へのロシアの影響力が絶大なのも確かだ。
トランスニストリアの人々はロシアのテレビ番組を見て、子供は学校でロシア語の教科書で学び、多くの高齢者がロシアの年金を受け取っている。
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トランスニストリアを示す地図
正式に国家としては認められていないトランスニストリア
正式に国家として認められていないことは、トランスニストリアにとって、特に若い世代の将来には必ずしも幸先が良いとはいえない。
古い世代は、トランスニストリアが認められ、ロシアの一部になることを相変わらず望んでいるが、若い世代は仕事がないことや厳しい経済状況に苦しんでいる。
若者たちは国外、とくにモスクワへの移住を切望していて、誕生以来、トランスニストリアの人口は3分の1以上減少している。
イギリスの写真家、ジャスティン・バートンは、2015年にトランスニストリアを訪れ、23歳の女性アナスタシア・スパターに祖国のことを考えるか訊くと、彼女は突然泣き出したと言う。この女性はトランスニストリアから出たことがないという。
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image credit:Julia Autz
閉鎖的な社会
ドイツの写真家、ジュリア・オーツは、トランスニストリアを旅して、若者たちの肖像を写真におさめたが、その社会は閉鎖的で、入り込むのは難しいと感じた。
「カメラを持った西洋から来た外国人を見ると、彼らはひどくうろたえたようになったわ。多くの人は西洋の価値感とは相いれず、プーチンを崇拝し、トランスニストリアがロシアの一部になることを望んでいる」とオーツは言う。
オーツもまたトランスニストリアの人々の表情に悲しみが染みついているのにショックを受けた。彼らの状況は絶望的なのに、それでも若者たちはとても感受性が豊かで理解力があったという。
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image credit:Julia Autz
「若い世代はわたしにとても興味をもってくれたわ。彼らはわたしが自分の国でなにをしているか、興味深々だった。トランスニストリアには外国人はそれほど多くいないし、たいていの人々は西ヨーロッパに行ったこともない。だからとても興奮して、わたしと一緒に過ごしたがった」
周辺国との緊張が続く
ロシアが常にそばにいて、なにかと絡んでくるため、モルドバとの関係はぎくしゃくしている。国境にとても近いところにロシアの影がちらつくことが、ウクライナにとっても脅威になっている。
最近、ウクライナ憲兵隊がロシアは紛争地域を利用して、旧ソ連諸国の親ヨーロッパ国に圧力をかけ、EU加盟を阻んでいると非難した。
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image credit:Julia Autz
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ティラスポリにあるロシアの陸軍元帥スヴォロフの像 image credit:Babak Fakhamzadeh / Flickr
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image credit:Marco Fieber / Flickr
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image credit:Clay Gilliland / Flickr
References:amusingplanet/
☆ロシアもややこしい国やなぁ!
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